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とりあえず。

とりあえず。

過呼吸(過換気)症候群

【症状】
元々、何事に対しても不安になりやすい性格の人に生じやすいようですが、性格に関係なく現実の過剰な心理的ストレスや、運動(マラソンなど)でも誘発されることがあるようです。。

 過呼吸発作は、パニック障害の一症状としてみられる場合もあります。
持続的な不安・不満や心理的緊張、怒りなど、気分を興奮させる状況で生じやすく、過労、寝不足、風邪による発熱でも発症は助長されます。
 しかし「あーそうか、これが原因だ!」と、簡単に分からない場合も多く、幸せいっぱいの平穏な生活を送っている人に生じる場合もあります(この場合、案外、平穏ゆえの空虚感、漠とした自分でも自覚しがたい焦燥感が背後に横たわっていることが少なくないのですが・・・)。

 人のストレスの身体反応には臓器選択性というものがあり、ストレスによってある人は胃腸症状になり、ある人は頭痛になり、そしてある人達は過呼吸症状になります。そのため、おそらく過呼吸発作を生じやすい体質というものが存在するのだろうと考えられるわけですが、このような臓器選択性と体質の関連については、まだ医学的にほとんど分かっていないようです。
 
【診 断】
発作時に、動脈血の酸素濃度と二酸化炭素濃度を病院で調べてもらえば、診断は容易につきます。これは少量の採血で即刻(数分間)診断されます。
 発作時には、血中の二酸化炭素濃度が異常に下がり、逆に酸素濃度は高くなっています。
また、同様の採血で血液のPHがアルカリ側に変移しています。
 まれに、狭心症、気胸、気管支喘息、脳腫瘍、脳炎、日射病との鑑別が必要な
場合があります。
 とくに高齢者では、過呼吸症候群が狭心症を誘発することがあり注意が必要です。

 診察室で3分間速い呼吸をさせ過呼吸を誘発させる「過呼吸誘発テスト」という
補助的な診断方法もあります。

【治 療】
1)ペーパーバッグ法といって、紙袋を口にあて、吐いた空気を再度吸い込むという状況をくり返し、血中の二酸化炭素濃度をあげる方法が一般的です。
 ただしこの場合、空気が漏れないようにと紙袋を口にぴったり当てすぎると、酸素不足になってしまいますから、少し隙間は作っておきます。

2)突然の過呼吸発作のため不安になって病院に駆け込んでくるような人には、不安が強すぎるためにペーパーバッグ法だけでは発作がなかなか治まりません。
  このような場合には、精神安定剤の注射が非常によく効きます。

3)しかし、病院(注射)にばかり頼っていては、自力で発作を抑えるコツがつかめない という事態になってしまいます。
  軽い発作であれば、「来たな!よし!」という心構えで、ペーパバッグを早めに開始し、不安なことはなるべく考えずに、時と共におさまるのだという体験を得ることが大切です。この折り、なるべくゆっくりした腹式呼吸をするように心がけてください。

4)どんな心身症にも言えることですが、病気について、主治医から詳しい説明を受け、とりあえずこの病態について知識をしっかり身につける事が大切です。
  発作用にいつも精神安定剤の頓服を携帯するという手段など、様々な安心方法を身につければ、しだいに過呼吸発作が怖いものでなくなってくるでしょう。
  
  発作自体に慣れてしまえば、しめたものです。慣れは心の余裕をもたらし、次回の発作はきっと軽いものに変化していくはずですから。

5)もし発作の原因となるような、日常生活での不満、不安、怒り、というものがなんとなく自覚できるならば、さらにその点を整理し、明確にしていくことが治療に有利であり、カウンセリングなどで、それらを言語化し発散していくような治療がいいでしょう。

6)何度も過呼吸を繰り返していると、発症の仕方や治まり方が段々分かってくるようになります。敵がどこから攻めてくるのか、一種の情報戦のようであり、敵の参謀の攻略が見抜けるようになってくるでしょう。

7)若い女性が患者である場合、周りが過剰に心配し反応すると、本人が余計に心をかき乱され、症状が悪化することさえあります。発作がおきても周囲の人はなるべく冷静を装いましょう。これも治療の重要なポイントです。


【追 加】
 過呼吸症状は、うつ病、パニック障害、強迫神経症など幾多の精神的な疾患の随伴症状として生じることもあります。その場合は、それら元の病の治療も併せて行っていかねばなりません。

 過呼吸の多くは、「体質的なもの」と「心理的興奮」の協同合作でありますが、私の印象では、やはり周囲に迎合しすぎる自己犠牲的な人も多いと感じられます。



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